CCNA 9 WAN

■WAN


WANの構築には,CPE(Customer Premises Equipment:加入者構内装置)が必要
CPE=DCE(Data Circuit-terminating Equipment:回線終端装置)
DCE⇒DTE(Data Terminal Equipment:データ端末装置)


DCEは使用するWANテクノロジによって変わる。

DCEの種類
・モデム
  PSTN(Public Switched Telephone Network;公衆音声ネットワーク)で使用される


・DSU/CSU
 ディジタル回線で使用される。ルータのインタフェースカードとして組み込まれている場合も多い


ONU
 光ファイバ回線で使用される


・ケーブルモデム
 CATVによるネットワークで使用される



DTEはルータやコンピュータがこれになります


■DCEとDTEを物理層でつなぐインターフェース

・EIA/TIA232
 RS-232Cとして知られるシリアルインタフェース

・HSSI
 IEEE規格の高速シリアルインタフェース

・V.35
 ITU-T規格のシリアル通信プロトコル

・X.21
 ITU-T規格のシリアル通信プロトコル



■WANで使用されるテクノロ

1.アナログダイヤルアップ
 PSTNに接続して,データを音声アナログ信号として送信する回線交換方式のテクノロジ。
 回線速度が遅く,常時接続にも向かない。少量のデータを定期的に送信する際などに向いている。


2.ISDN(Integrated Services Digital Network)
 ディジタル信号を送信する回線交換方式のテクノロジ。


3.専用線
 加入者の拠点間を永続型に接続するテクノロジ。
 帯域を完全に保障する。


4.X.25
 WANサービスプロバイダが提供するパケット交換ネットワーク。
 加入者は専用線またはアナログダイヤルアプなどでサービスプロバイダに接続し,
 X.25ネットワークを使用する。


5.フレームリレー
 X.25に代わって普及した,パケット交換ネットワーク。X.25よりも簡略化し,より高速に使いやすくなったテクノロジ。


6.ATM(Asynchronous Transfer Mode)
 広帯域かつ高速なパケット交換ネットワーク。
 「セル」と呼ばれる単位でデータを交換する。


7.DSL(Digital Subscriber Line)
 既存のPSTNで使用されている電話回線を使用して,ディジタルで高速な接続を提供するテクノロジ。
 複数の種類があり,アップストリームとダウンストリームの速度が異なるADSL
 アップストリームとダウンストリームの速度が同一のSDSLなどが一般的。

8.ケーブルモデム
 CATVでテレビ信号を配信している同軸/光ファイバケーブルネットワークで,ネットワークアクセスを提供する



■シリアルインターフェースの設定


大前提:DCE側がクロックレートを送出

⇒通常はDTE側となるルーターはclockrateコマンド必要なし
ルーター通しをロールバックで繋ぐ際にどちらかがDCEになるので、
 DCE側にclockrate設定が必要。

 clockrate 64000

⇒DCE側は show controllers で確認


帯域幅の変更は (config)bandwides 64(kbp)




■WANのカプセル化

WANはデータリンク層プロトコルカプセル化されます。
使用されるWANテクノロジにより,使われるカプセル化は異なる。

⇒WAN側の設定ではカプセリング(encapsuliung) が必要


・HDLC(High-Level Data Link Control)
 専用線などで使用されている

・LAPB(Link Access Procedure Balanced)
 X.25で使用されている

LAPD(Link Access Procedure D Channel)
 ISDNのDチャネルで使用されている

・LAPF(Link Access Procedure Frame)
 フレームリレーで使用されている

・PPP(Point-to-Point Protocol)
 専用線ダイアルアップ,ISDNのBチャネルで使用されている。
 また,これの拡張版であるPPPoE/PPPoAはDSLで使用されている



(config)# interface serial [番号]
(config-if)# encapsulation ppp




■PPPの設定

(config)# interface serial [ポート]
(config-if)# encapsulation ppp



 PPPを使用するだけならばこれだけですが,認証プロトコルの設定も必要になります。
 認証プロトコルの設定には,自身のホスト名をまず設定し,
 さらに対向のルータのホスト名とパスワードを設定する必要があります。

(config)# hostname [ホスト名]
 ・・・ 自身のホスト名の設定

(config)# username [対向ホスト] passwaord [パスワード]
 ・・・対向ルータのホスト名とパスワード(双方同一PW)を設定


(config-if)# ppp authentication [chap | chap pap | pap chap | pap]



■PPPの状態確認

# show interfaces
 ・・・ インタフェースの状態の確認

# debug ppp authentication
 ・・・PPPの認証状態の確認


■フレームリレーの概要
フレームリレーはITU-TANSIの標準であるパケット交換型のコネクション型WANサービスで,
レイヤ2のデータリンク層で動作。
使用されるプロトコルはLAPFと呼ばれるHDLCの拡張の1つです。
フレームリレーではFRADの機能を持つ機器(ルータ)であるDTEと,
フレームリレー網上のDCEであるフレームリレー交換機間でフレームの転送が行われます


各拠点のDTE間でVC(Virtual Circuit)と呼ばれる仮想的な通信路を設定。


VCを識別する番号をDLCI(データリンクチャネル識別子)と呼びます。
DLCIは「あて先のアドレス」ではなく,「VCの識別番号」である



■フレームリレー設定

(config)# interface serial [ポート番号]

(config-if)# ip address [IPアドレス] [サブネットマスク]

(config-if)# encapsulation frame-relay {cisco | ietf}
 ・・・ カプセル化をフレームリレーにする

 encapsulation frame-relayコマンドでカプセル化を設定します。
 Ciscoルータ同士ならcisco,非Ciscoルータがあるならばietfを設定します。
 IOSが11.2以降ならば自動認識するためframe-relay lmi-typeコマンドは必要ありません。


(config-if)# frame-relay lmi-type [cisco | ansi | q933a}
 ・・・ LMIタイプを決定する



■フレームリレーのサブインターフェース設定
フレームリレーで1つの物理回線(インタフェース)で複数のVCを使用している場合,
ルーティングプロトコルの運用で問題が発生する場合があります
⇒サブインターフェースを設定


point-to-point
・・・ 1つのサブインタフェースで1つのVC。VCごとに別サブネットとして運用される

multipoint
・・・ 1つのサブインタフェースで複数のVC。すべてのVCが一つのサブネットとして運用される。
 スプリットホライズンの問題は解決されない


(config)# interface serial [ポート].[サブインタフェース] {point-to-point | multipoint}



■フレームリレーの状態確認

# show interfaces
・・・ インタフェースの状態の確認

# show frame-relay map
・・・ IPアドレスとDLCIの対応の確認(静的・動的双方表示される)

# show frame-relay lmi
・・・ LMIのタイプや状態の確認

# show frame-relay pvc {interface インタフェース番号 | DLCI}
・・・ PVCの状態確認。FECN/BECNなどの確認も

# debug frame-relay lmi
・・・ LMIを正しく送受信しているか確認する